長い長い夏休みが明けて、小学生は学校が始まった。
お盆休みはがっつり遊んで、プールにも行き、ママのお友達が泊まりに来たりして
普段より結構楽しんだ、夏。
今思えばさ、それが良くなかったのかもしれない。久しぶりに登校するぴっぴは緊張していた
「学校がこわい」
うむ、何が怖いのかい?
「久しぶりに行くから緊張するんだ。お友達覚えているかな…」
確かに、まだこの世に生まれて6年しか経っていないぴっぴの、1ヶ月というのは、気の遠くなるくらい長い日々なのだろう。
キッズにいる子以外、そんな長い時間あってなかったクラスメイトと、また再び会うのだ。
「流石に忘れちゃってるってことはないんじゃないの?」
「でも怖い!」
そんなわけで、朝の登校にくっついていく私。登校しぶりというやつである。
初日は荷物もたっぷりあったので、それも一緒に運びつつ、登校するものの教室に足が向かない。
ひえーーー、ついに我が子にも来たか小1の壁!!と内心思いつつ、平静を装う。
「フゥン、じゃあ教室まで一緒に行こうかー」
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かれこれ、ここ2週間、そんな朝を繰り返していた。朝はバタバタなのでね、毎日毎日どんなやりとりだったかは思い出せないけど
①朝ごはん食べるまではフツー
②学校に行きたくないと主張し出す。
③朝の準備がノロノロに。なんなら、朝になってアレがないコレがないを言い出す
④なんやかんや準備が整わず、行くのも遅くなる
頭ごなしに「学校に行け!」が逆効果なのだろうというのはわかってはいる。
だから、「行きたくないよねー。ママもお仕事行きたくないなー」と共感しつつ
「そうだねぇ、行きたくなかったら行かなくてもいいんだけど、ぴっぴを1人で留守番させるのもなぁ」
「ママとお家でお留守番する」
「ママも仕事があるからなぁ。自分でお昼のスパゲッティを電子レンジでチンできたらいいんだけども」
なんて会話のやり取りをすると、「じゃあ行く」とすっくと立つのだった。
でも教室に行くと、ママと離れたくないと泣くのだ。これは保育園アゲインではないか。
いや、むしろ保育園はそこそこ楽しんでいたし、なんなら率先して通っていたよね
小学校と保育園の違いって言ったら、急に増えたお友達の数?先生が一斉に指示を出すから言い出しにくいとか?
本人に聞いてみると、お友達や先生が原因ではないと言う。ただただひたすらママがいないことが寂しくて、パワーが出ないと。
そんなの聞いたらさぁ、まぁハグするよね。
休めるものなら休みたかったのだけど、一度休んでこの先いつまで休みが続くかと思うと休めず
その代わり、事情を話してちょこっと遅刻していくのを繰り返していたのですよ
ですが、先日ぴっぴがため息をついた後に
「どうしてぴっぴは生まれてきたんだろう…」
と呟いた時、これはまずいよなと思った
「なんでそう思ったの?」
「毎日学校がある世界になんで生まれちゃったんだろう…」
とっても詩的な世界観であるけれど、これが年頃の、思春期の子どもだったらヒュッと肝が冷える発言である
ただ、君の世界は今始まったばかりで、この緊張感というのもいずれ越えていけるはずなんだよ
毎朝、そうだねぇと言いながら少しでも楽しそうなことを探して、見つけて、なんとなーく家を出て
ダラダラとした足取りで学校に向かっていく
学校に着くまでは、教室に入るまでは緊張と不安があるものの、毎日行って仕舞えば「今日はこれをやって楽しかった」とか、「これが明日必要で」と前向きな感じで報告してくれる
と、ついぞここ二日くらい。やっと教室に入っても泣かなくなった。
入り口に女子たちが来て「ほら、行くよ」と手を引かれていくのだ。なんと頼もしい女子だろう。
満更でもない顔のぴっぴを見送って、スススっと知らんぷりして帰ったのでした
ナイス女子!ありがとう!!!
いわゆるお友達パワーというものですな
わが子が教室に吸い込まれていく様子を見て、つくづく、行きたくない理由はわからん。
わからんが、こういう時期はあるもんなんだろうな、と思うことにした
私だって小学校4年生の時、クラスの女子と揉めて行きたくない時期ありましてん。
ただ、わが家の全権である母は、学校を休ませてくれる人ではなく。問答無用で送り出されました
それはそれでこういう人間ができあがってしまうのだけど
やっぱり、子育てというのは「自分がして欲しかったこと」をする、「自分の育て直し」のような一面があって
私のように、母が亡くなってしまうと、本人に恨み言は言えないので、とりあえず子どもには同じような思いをしてほしくないなーという
プラスの行動面で昇華…消化?していこうとするわけです
甘いのかもしれないけど、行きたくないなら行かなくていいし
(ただ、仕事は遅れられるけど休むのはなかなか厳しいよね)
君の課題だからね、とちょっと引いて考えている自分もいます。(私の課題じゃないからねー)
そんな、悩ましいやら嬉しいやらの帰り道。
校庭で、何やら泣き叫ぶ男の子が1人。
彼の後ろには、同級生と思わしき少年もいて、何やら困っている様子。
通りがかったので、声をかけてみた
「どうしたの?何か困っている?」
すると泣いている少年が
「蚊に刺されたー!10ヶ所以上刺されてかゆくてもう学校に行けないよーー!!」
と泣きながら教えてくれた
「そうか、それは辛かったね…」
とりあえず共感しつつ、後ろの少年を見やると困っている。そりゃそうさ、どうしようもない。
さて、どうしたものか。このまま放っておくのもなぁと、
「それはそうと、ここで座っているとますます蚊に食われるから、泣くんだったら教室で泣いたら?」
と声をかけた。
すると、すごい勢いで泣いていた少年は、ピタッと泣き止み、すっくと立ち上がると校舎のほうへ歩いて行ったのだった
それを追いかける後ろに控えていた少年。君はえらいね。文句も言わず、ただ寄り添っていたなんて。
本当に、学校に行きたくない理由なんて千差万別なんだね。
秋になったら蚊もいなくなる
あの少年も登校できるだろう