今日、仕事をしていたら知らない携帯番号から電話がかかってきた。
知らない番号、というと語弊がある。携帯会社を変えて機種変をしたら、電話帳が引き継げなかったのだ。だから多分知り合いだろうけど、誰か知らない番号。
とりあえず出てみると、高校の恩師からであった。先生とは高校卒業以来ずっと年賀状でご挨拶をしている。細々と近況を書くだけのお付き合いであったが、喪中のはがきを見て電話をしてくれたのだった。
思わぬ電話と懐かしい声に、思わず声が詰まった。
高校時代はよく母がPTAの広報委員で学校にやってきていた。子どもそっちのけで行事を楽しむ母は、学年主任の先生とも仲が良かったが、実はテニス仲間でもあった。
この一年半のあらましと、こんな形で報告することになったことを詫びた。「誰にも知らさないでほしい」という母の意向を中途半端に汲んだ形であるし、知った側からするとあまりに「突然」だろう。
私の近況と、体調を気遣って話をしてくれた先生に、電話をしながら涙を流していた。職場で、席を外したとはいえこんなに感情が溢れ出すとは思っていなくて油断した。
電話を切った後も、ここ最近の母とのやりとりではなく、高校時代のことを思い出してしまった。
広報委員を口実にやたら高校にやってきては、行事を楽しみ、桜丘の吹奏楽を楽しみ(定期演奏会は毎年家族の分まで買っていた)私の友達に勝手に話しかけ、受験の時は保土ヶ谷公園でテニスをするついでに差し入れをしてくれた。
図書室で勉強をしていると、カツ丼を持ってきてくれたっけ。女子高生にカツ丼。とことんデリカシーに欠ける。でもそういう当たり前だったあの頃を思い出して涙が止まらなくなってしまった。
人気のない階段で電話をして、しばらくそこで泣いていたのだけど、10歳も下の後輩に見つかって「大丈夫ですか?誰かに怒られたんですか?」って声をかけられた
この年になって怒られて泣くってことはないけども
ダイジョーブ、仕事じゃないから、とやり過ごした。母が亡くなって、職場ではいつも通りを貫いていたのだけど、思いのほかダメージあったんだなぁと自分でもびっくりした。
そりゃ家ではいろいろ思い出してシクシク泣くことはあるけれど。
義母が、とっても感性が細やかな人なのでいろいろ気遣ってくれる。マメにメールをくれるのになかなか返せてないのだけど、その中の一通に
「秋という季節がよくありませんね。日暮れは早いし、寒くなるし、暗いし。
いろんな思いも次々に出てきます。
思いがけない時や所で不覚にも涙がこぼれたり。
私は間違えて実家の電話番号を押して「この番号は現在使われておりません」というアナウンスが流れた時、声を上げて泣きました」
義母の母、つまり義祖母が亡くなってもう6年が経つけれど、こういうエピソードがきっとたくさんあったのだろうと思った。そういう思いをした義母だからこそこうやって支えてくれるのだなぁと思った。