さて、お葬式を終えてちょうどお昼時。近くにある「木曽路」でご飯を食べる予約をしていた。
場所柄だろう、お葬式の帰りに寄りますと姉が席だけ予約をとっといてくれたら
「遺骨」を置く台まで用意してくれていた。
こうやって故人を偲んでご飯を食べる場としてみんな利用しているのだろう。
母が亡くなって、葬式と軽い昼食会をやろう、ってなって「かーちゃんも一緒に食べてる感じで写真を持ってくのはどう?」との提案があった。なんと姉からだ。いや、ねーちゃんは別にそんなこと思っていない。
お葬式に来る母の兄がきっとそうしたら嬉しいんじゃないかという姉の気遣いだ。よく気がつく。
さて、じゃあ遺影のようなものか
そこで母のワンショットを探すけどなかなかない。
普段化粧をあまりしないので、写ってても「うーん」という見た目。
最近すぎると抗がん剤で髪がない。それじゃああんまりだ、と若い頃まで遡る。
あるにはあるが若すぎて「母?」って感じ
各々スマホなども調べるけどぴっぴやぴーすけとくっついてたり、背景が微妙!
そうやって探しているうちに日が経ってしまった。
写真さえ見つければ、それを遺影っぽく加工してくれるサービスがネットでもあるらしい。
しかし、とうとう私たちの持っているスナップ写真に良さそうなものは見つからなかった。
ふと、私が持っていた成人式の時の着物の写真。せっかくだからと家族で撮った一枚があった。
スナップ写真ではなく写真館でがっつり撮って台紙にくっつけてある。
その母がまぁまぁ若く、髪もしっかりあり、何よりちゃんと化粧をしていて、写真屋さんで撮っているから画素が荒くない。
よし、これを使おう。しかしお葬式はもう明日である。
そこでその写真をプリンターのスキャナで取り込み、毎度使っているアイビスペイントで加工してみた。
ものすごいいい感じの遺影になったのだった。大きな遺影は作らないことにしていたので、写真立てに入るサイズで印刷し、当日持って行くことにした。
そして先ほどの木曽路で母の写真をそのお骨と一緒に並べた。
伯父さんは「今日はにぎやかしだから明るく送り出そう」と好きなものを頼んで母のグラスにもビールを注いだ。
まぁ下戸で全然飲めなかったのだけど、きっと一緒に飲んでいる気分にはなれただろう。
これが結構評判が良くて、伯母が「もう一枚印刷してほしい」と言ってくるほどだった。
もはやここまでくると、これを仕事にしたらいいと思うのだけど。
死んだ人向けにする商売って青天井だと思う。
それは悲しみに我を忘れて、「お金で解決できるなら」と、手間より楽を選択する。
というより何も手につかないからさ
あとはやっといてよってなる。
まぁ間に合わなかったのもあるけれど
自分でできることはなんでも手作りする我が家だからこそ、なんだか遺影すら手作りってなかなかだな、と思いつつ
ネットで注文したら2,000〜6,000円くらいだったのに実質0円で作れて
みんなに喜んでもらえたのだからかーちゃんも喜んでいることだろう。