くらし 母のがん

天赦日と一粒万倍日の二つが重なった吉日。

投稿日:2022年1月12日 更新日:

こういうのを信じるおばちゃんです。

前にたまたま見ていた情報番組で、1月11日が「天赦日」という良い日と「一粒万倍日」という良い日が重なるスーパーラッキーデーというのをやっていた。(後2日くらいあるらしい。3月26日と6月10日)

一粒万倍日って宝くじの売り場に出てたのを見たことあるけど、へぇーそうなんだ!

で、こういう日は買い物をすると吉で、特に金運には財布。新しいことを始めるには良いところに連れて行ってくれる「手段」を手に入れると良いらしい。

車とか、自転車とか?でもそんなのいきなり買えないので「靴」が良いんだって。

さて、昨日は雨だったのでぴっぴ(長男)の保育園へぴーすけ(次男)を抱っこしてバスで行った。帰りも乗ることを考えて、一日乗車券もありだな、と思いならば買い物行こうと思い立った。

こういう寒い雨の日は人出も少ない。そして案の定ガラガラの店内の、しかも開店同時に到着。

あの、「いらっしゃいませ」と全店員があいさつしてくれる中、いそいそとセール品を漁ってきたのだった。(恥ずかしい)

ぴーすけはデパートで貸してくれるベビーカーに乗せ、それでも30分が限界でサクッと良さそうなものを選んで買った。本当はお財布は自分より収入の多い人からもらうほうがいい、とかお財布の値段の200倍が年収になるとか、いろんな説があるけど

手に馴染む、薄めの素敵な財布を見つけた。今使っているものより一回り小さい。実際札を入れるわけにはいかなかったが、この財布でいいくらいスマートで少ない物で暮らそう、と選んだのであった。今は現金を入れて寝かせている。

そしてもう限界かなー帰ろうか、と思ったところでぴーすけが寝る。しかもいつものようにおんぶでのけぞって寝る。これはある意味チャンス、と靴を買いに行ったのだった。

しかし靴売り場、セールとはいえ高い。本当はレインブーツを買って今履いているやつを捨てて行きたかったのだけど、これ、というものがなかった。

というのも、今履いている靴がとてもいいのだ。ぴっぴが生まれる前にジョイナスの地下街で買ったのだけど、特殊素材なのか雨の日ガシガシ履いても水は入ってこないしあったかいし、それなのに夏の梅雨時も蒸れない。そうか、あの店でまた同じ靴を買って帰ろう。

帰りがてらまだ潰れていない靴やに行くと、私の履き込んだ靴を見て「ゴアテックスですね」と言われた。あーなんか5年くらい前にそんなことを言われた気がしなくもないが。その店では取り扱いがないらしく、同じくジョイナスの他店を紹介された。

のけぞったぴーすけを連れていくと、そうそうこんな素材の同じ靴発見。ゴアテックスっていうのね、あなた(トトロ風)

前に買った時も思ったけど、レインシューズにしては高いんだよな。でも、この数年雨の日はコイツなしには語れないくらい世話になってるし、なんならこの冬毎日履いてますから

履き過ぎて裏の凸凹はおろか、土台まで擦り切れてます。

三種類くらいある中の、1番今履いてるやつに近いやつを選ぶ。結局それが1番使いやすいんだもん。編み上げのブーツ風もあったけど、(可愛かったけど)大人なのでシンプルイズザベストをチョイスだ。

16,000円ほどだが、今日雨の日に新しい靴を買って、それが素敵なところに連れてってくれるならそれも良しだなぁと思った(前の靴は捨ててもらった)

そんな意気揚々な気分。帰りのバスでぴーすけも起き、バスを楽しんだ(バス好き)天候に反して何かといいことが起こりそうな予感。

帰ると友達とラインお茶会。お互いの近況を報告しあったり、お互いの赤子の成長を見合ったり、まぁダラダラと喋る幸せだ。昼時だったので何やらもぐもぐしながら喋っていたが、何かを食べている時だけはおとなしいぴーすけである。

いつも勉強熱心で前に突き進む彼女には、「よし、こっちもやるぞー!」と電話を切った後も前向きな気持ちをもらっている。ここで英気を養って充電してから待ち構えていたのが母と妹だった。

日にち間違えて今日が病院の日で、帰りに寄ったのだった。機嫌も体調も良く、この雨の中病院がよいも難なくこなし、ぴーすけと遊んでいた。

昨日話していたように、本人は穏やかである。

そんな中、私は密かに決意をしていた。話をするなら今日かな、と。何かと言われれば「この先」の話だ。

昨日のテニス仲間との楽しい話や、本人的には体力もついてきていて、頭もハッキリ。しかし、これから検査が目白押しでいつどうなるかわからない。何度も今まで話すチャンスはあったが「今はその話はしたくない」「こんなに具合が悪いのに先のことなど考えられない」と自ら自分のことを決めてはくれなかった。

だけど、どう考えてもこれから劇的に回復することはないだろう。ならば元気なうちに、私たちにどうして欲しいのか、どう対応すればいいのか(てか、勝手に決めていいのか)話してもらいたかった。

テニス仲間との話の中で、同じようにがんで亡くなってしまいいつの間にか連絡が取れない人がいたらしい。それをきっかけに「自分の時はどうしたいの。みんなに連絡ってして欲しいの?」

母の顔が曇る。「そんなのは死んでから連絡がなくて死んだんだ、って後から知るんでいいんだよ」

「本当に?今1番仲の良い〇〇さんもそれでいいの?連絡先知らんけど」

「そんなのは携帯のアドレス帳に入ってるから」

いやいや、人の携帯などロック番号も知らない。それもこれも全て妹がわかっているから、大丈夫だと言う。本当に?妹はそこまで母の交友関係を把握していて、もしものことがあっても冷静に対応できる?

自分に何かあった時に連絡して欲しいこととか、やって欲しいことは誰でもわかるように紙に書いておいてほしい。

そう端的に伝えた。妹は阿吽の呼吸でわかっていると母は言う。妹は困惑していた。「いや、わからないよ」ちゃんと言ってくれないとわからない。そりゃそうだよ。別の人間なのだから。

そして、これから先妹に大変なところを全てやってもらうのは無理だしそれは違うと思っていることもハッキリと伝えた。

「こんな話がしたくて寄ったんじゃない。ぴーすけと遊びたくて来たんだ」

そうだな。いつもそうやって、大事な話からは目を逸らし、延ばして延ばしてきた。妹はこんな話はしないだろう。

母から言われたことをその場その場で対応してくれている。計画もなく、突然予定を入れ、人の予定をキャンセルさせて今までも自分の都合を優先させる母。いくらがんだからって妹が優しいからって、この先ずーっとそれで暮らしていけるわけがない。

がん患者と言うのは百も承知だが、これが来週になれば「検査結果が悪かったから話をしたくない」「今はそんなことは考えられない」「死ねと言うのか」と言葉が続く。献身的に支える妹の言葉など聞かず、医者の言うことしか信じない。

そんな親。

そんな親でも最後は私たちが看なければならない。

散々嫌なことを言った私に腹をたて、私も腹をたてこの日は解散となった。せっかく検査結果が出るまでは気持ちよく過ごしたかったのに。そういう気持ちをむげにしてしまった。それでも後悔はない。

もし、私が今がんになったらどうするだろうか。

そう自分で何度も考えた。

小さな1歳半のぴーすけと、4歳になるぴっぴ。この2人を置いて自分がもう長くないとわかったら。私は行動するだろう。ありとあらゆる未来を想像して、何が彼らの助けになるか。

残りの時間を考えて、どう死にたいのか。最後に何を伝えたいのか。作れるものがあれば作って、準備できるものがあればその時に向けて準備するだろう。最後に家族が混乱しないように、段取りをつけておくと思う。

そんなのはあくまで理想論だとはわかっている。私も母ががんになって初めてそう考えたのだ。子どもを持つ親になって初めて自分以外の者に対して何かを残そうと思ったのだ。

じゃあ実際に初めてがんになった母は「初めてだから仕方ないのか」

いや、自分の実の姉が乳がんになった時考えたはずだ。自分ががんの疑いがあると想像して勝手に言い回ってた何年か前も考えたはずだ。これまでの数ヶ月で自分がどうするのか考えたはずだ。

考えていても、言葉に出さなければそれは伝わらない。

本当にラッキーな日だったのかしらね。妹にちゃんとフォローを入れとかなくちゃだなぁ。



-くらし, 母のがん

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