くらし

ぎんなんを拾うおばちゃん

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確実に季節は進んでいて、暖かい日もあるけれど風は冷たい。

ぴーすけが歩くようになって、玄関で靴を持って「はやくさんぽにつれてけ」とうるさい。はいはい、今日はどこに行きましょうね。

川辺公園は、夏も日影があってなかなかに涼しい。砂場の周りをぐるりと木が茂っていて、何時に行ってもだいたい日影がある。

一方冬も日陰になって若干寒いのだけど、銀杏の木が素晴らしいのだ。

まだ緑色だけど、これが黄色に色づくと、ちょっとしたフォトスポットに。区役所の帰りにでも寄っていただきたい。

さて、この季節美しい銀杏の葉っぱとは裏腹に、落ちているぎんなんの実の臭いこと!

ここの公園に住んでらっしゃる方が毎朝お掃除してくれるのだけど、それでも突風の吹くたびにぎんなんの実が落ちる。

これを踏んじゃうと靴の裏についたりして最悪。

そこに不審なおばちゃんがいた。マスクに帽子にサングラス。黒づくめ。

ベンチに座っているんだけど、ときどきフラッと立っては子どもたちのそばをうろうろ歩くのだ。

この日は女の子のお母さんがちらりほらりといて、「え、何この人」という視線を遠慮なく向けていた。

しかし、私は気づいていた。ぴーすけが砂場で遊んでいる暇なとき、この人を観察していたから。このおばちゃんはぎんなんを拾っている!

しかもよく見ると、透明なビニール手袋までしていて準備バッチリすぎる。

なんて思っていると、またササっと風が吹いた後に落ちたぎんなんの実を拾っていた。

まぁ普通に考えれば不審なんだけど、実は私もここのぎんなん拾ったことがある。なぜなら、ぎんなんってめちゃくちゃうまいのだ。

遡ること10年以上前。

通っていた大学には立派な銀杏並木があって、まぁ毎年エライ数のぎんなんの実が落ちてくさーい匂いを放っていた。

私もそれに閉口する一人だったが、考えを変えたのは卒論の担当教授である。

福祉科の重鎮で学部長とかもやってたおじいちゃんなのだけど、晩年はすっかり隠居のような雰囲気を醸し出していた。

ゼミ生は数人。割と暇だった私はゼミの授業の前にもう一人のゼミ生とふらっときて、一緒にお茶を飲んでいた。

「ぎんなんって食べたことある?」

そんな会話をきっかけに、学校のぎんなんを拾いに行くことに。

好奇の目にさらされながらも、『教授も拾ってるし』という謎の免罪符を盾にビニールいっぱい拾った。

帰りのエレベーターに乗り合わせた学生が鼻が曲がると笑っていたけど、その実をはいで研究室にて乾燥させた。

そして次の週のゼミ。

おじいちゃん先生は茶封筒を用意しており、その中にぎんなんを入れて、電子レンジでチン。

はぜた実が、翡翠のような碧色をしていた。

正直、茶碗蒸しの銀杏は好きじゃないので、おじいちゃん先生の道楽に付き合ってる感覚であったが、みどり色のそれを食べた時の美味しさったら!

もちもちで、ちょっと塩をつけると抜群に美味しかった!

それ以外にも、自宅の柿を干し柿にして持ってきてくれたり、自然のものの美味しさを教えてくれた教授。

さっそく家でも拾ってみた。実家の近くの交差点にもまぁ大きな銀杏の木があって、臭い実を拾うのは正直恥ずかしかったが、美味しさには勝てなかった。

実を洗ってベランダに干して、茶封筒に入れてチン。

実家でもおいしい!と一大ムーブメントを引き起こす。

そんなぎんなんの思い出。思わず、知らないおばちゃんに声をかけた。「プールの方にいっぱい落ちてますよ」

おばちゃんは嬉しそうに、「あっちの実は小さいのよ」と教えてくれる。確かに。

立派な銀杏の木だからこそ実も大きいのよね。世間話をしばらくしていたら、「乾燥させたやつあげるわよ!」となった。

イヤイヤ、今日はたまたまぴーすけが起きててこの時間ですから、と丁重にお断りし、今度拾ってたらまた声かけますとお話しした。

ぎんなんの実が欲しいというより、拾っている人がいることへのシンパシーというかw

もはや風物詩といっても人目がはばかられてなかなかできないぎんなん拾い。

おばちゃんは拾うのが楽しいといっていたが、その気持ちはよくわかる。

私もぴっぴやぴーすけが家で待ってたらひたすら拾ってしまいそうないい天気の秋の日

と、ここまで昨日書いていたのだけど。

今朝、公園に行ったらおばちゃんがいて、まさかのぎんなんくれたー!

約束してないのにもはや恐怖。笑

いやいや、どんだけいい人やねーん!!けっこう大量だよ。

来るかわからないわたしのために持っててくれたわけでしょうよ

ということで、秋の風物詩ぎんなん食べました。ごちそうさまでしたっ



-くらし

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