先日、お昼寝から起きてきたぴっぴとぴーすけのリクエストに応えるべく、夕方の公園に繰り出した。
遅めのお昼寝だったので夜寝ないとやだなーなんて。お外で遊ぶのもだんだんと寒くなるしね、今のうちだ
夫とボールで遊ぶぴーすけと、砂場で水を運んで私にアイスコーヒーを作ってくれるぴっぴ
だんだんと暗くなって視界もちょっと遠くが見えなくなってきたので「夕飯にしよー」と帰る準備をしていたところだった
言葉がたどたどしいお母さん(きっと外国の方)が「これくらいの男の子みなかったですか」と聞いてきたのだ
ちょうどぴっぴくらいの背の高さだ。「何歳なの?」「4歳です」ぴっぴと同じである
お母さんはとっても焦っている。それもそうだ、子どもがいなくなってしかもだんだんと外は暗くなっている。ぴっぴも一緒に探すというので、ぴーすけを夫に任せて公園中を探し回った
男の子の名前を大声で叫んでいたら、他のお母さんも気づいたのか協力してくれた。そしてこの公園、川に隣接している。
思い出すのは先日の女の子が川で見つかった事故である。いやでも焦る。
ふと、後ろから大勢の小学生くらいの男の子たちが「〇〇くーん!〇〇くーん!!」と私の比ではない大声で大捜索をし始めた。ざっと10人前後。そして走りながら方々へ散らばり、大声でいなくなった子の名前を呼んでいる。
すると、誰かが川の近くで赤い靴を発見したのだった。揃えておいてある赤い靴。血の気が引いた。
「靴があったよ!〇〇くーん、どこーー」そう言って川に向かって少年たちが覗き込む。
まさかこの中じゃ…もう暗くて目視できない。合流した夫が警察に連絡しようとしたところに、向こうのほうから女性が男の子を抱えてやってきた
「この子迷子みたいで、裸足で道路の方まで歩いてきてて」
ヨシダさんというその人は、大きな公園の反対側のはじっこの道路の方まで、男の子が裸足で歩いてきたところを見つけて、抱っこして連れてきてくれたのだった。小学生の大声で気がついたのだろう、それを聞いて歓喜する小学生たち。
女性から男の子をキャッチした少年が、今度はお母さんのところまで連れていく。
お母さんと対面して、迷子だった男の子はそれまで困惑した顔であったけど大号泣し始めた。ようやく安堵したのだろう。こちらもそれをみてホッとした。
それにしても、小学生の男の子たちの、あの大捜索がなければ男の子は見つかっていなかっただろう。
ヨシダさんも遠くまで歩いていた男の子を確保してくれなかったら…いろんな可能性を考える。
川に落ちて見つからなかったらと思うと恐怖だ。
子どもは溺れる時は静かに溺れるというし、気がつかなかっただろう
小学生たちに、「本当にありがとう。君たち小学生?どこの子たち?」と聞いたら「〇〇小でーす!」「あ、俺△△中です」とまぁ無邪気な笑顔で答えてくれた。
こういうことをパッとできる若者がいるのだからまだまだ日本も捨てたもんじゃないのである。
夫と帰り道に「この前の事件も他人事じゃない、って思ったけど。なんかああいう子たちが活躍してくれてありがたいね」と話していた。
きっと彼らは家に帰ってお家の人に自慢げに話をするのだろうか
週明け、なんとなく思い立って、それぞれの学校に電話をしてみた。
ことの経緯を話して、「あの子たちがいなかったら見つかっていなかったかもしれません。本当に爽やかな子たちで素晴らしかったです。どこかで褒めてあげてください」
どこの職場にいても、クレームの電話はよく来る。でも、お褒めの電話はなかなか来ない。
当たり前のことをしているので、サービスを受け取る方はあまり「良かったこと」に関しては発信しないのだろう
でも、想像してみる。もし、どこかであの小学生たちが先生に褒めてもらえたら
きっと当たり前にやったことかもしれないけど、自分のことを誇らしく思うんじゃないかしら
警察にも届けられなかったし、無事に見つかったので事件にもならなかった。
だけどここに書くことで密かに表彰したいと思う