マンションの1階に越してきて、憧れの庭を手に入れた。
といっても中古マンション。内見にきたとき、庭は荒れ放題だった。得たいの知れない大きな株と、謎のツル性植物。掘っても掘っても芋のような根っこが出てくる。
庭づくりは土づくりから
まずはどんな庭にしたいかはさておき、これらのものを抜き去り、ゼロに戻すところから始めた。近くのコーナンでスコップを買い、ひたすら掘る。
掘っているうちにミミズがたくさん出てくる。どうやら土は悪くなさそうだ。
しかししばらくほっとかれたためか土は固い。耕しつつ、苦土石灰やパーライトや腐葉土を適度に期間をあけて混ぜ混ぜ。これがもうけっこうな重労働で、つくづく農家は尊いと思う。
どんな庭にしたいのか。設計図を描きながらタネをまく
土づくりが終わっていよいよ種まき。イングリッシュガーデンを目指す私はこの1年間でさまざまな草花を植えた。
最初にアメジストセージ。薄紫の花が美しい。ジキタリスやデルフィニウム、ルピナスの苗も植えた。ボーダーガーデンにしようとパンジーやビオラも青系に統一し、一番日当たりのいいところに。さらにグランドカバーになることを狙ってハツユキカズラ。これは臼ピンクのツタでかわいらしい。
自分の思い描いた形を実現しようと、あちこちに配置。花が咲くのを楽しみにしていた。今まで切り花しか買うことがなかった花屋では苗をチェックし、商店街やサカタのタネ、コーナンを徘徊した。
そうやって立ち寄ると、ついつい衝動買い。ジャスミンは香りがよい。千日紅はビビッドな紫が差し色になる。シロタエギクは葉っぱがしろっぽくて面白い。面白いといえばコキアのふわふわの触感…と統一感もなく増やしてしまった。
雲行きが怪しい。買ったものの、どこにどうやって植えようか迷う。ローズマリーは料理に使いたいし、エンジェルウィングスという白い葉っぱを買ったらエリカという鉢をおまけにもらった。もはや手がつけられない。
そうやって買ったものをもて余した素人イングリッシュガーデンはいい意味で種の多様性、悪く言えばひっちゃかめっちゃかに植わった。
そしてぎゅうぎゅうな庭の風通しは悪く、ダンゴムシの温床となる。ビオラとパンジーは食い荒らされた。
風とおしが悪いと当然日当たりも重なりあって悪く、なしくずし的に他も枯れてしまったり食われたり。
そこに加えて2度の台風直撃、暴風雨、雪、と庭に試練が訪れる。諦めかけた頃、お腹の子が大きくなり責任を放棄。
思い通りにはいかない、だからこそ面白い庭づくりは続く
私の代わりに姉が庭を手入れしてくれた。食い荒らされたメンバーは淘汰し、新たにバジルやシソを植えた。姉の家に転がっていた芋を植えた。母が家からアジサイを持ってきた。
姉は適度に水をやり、ときどき肥料入りの水をまき、虫をとり、雑草を抜き、落ち葉をはいてくれた。ダンゴムシ用の落とし穴まで空き缶で作ってくれた。
現在はそんなサバイバルな中生き残った精鋭たちが庭に鎮座している。一番幅をきかせているのはサツマイモものツルである。イングリッシュガーデンにはほど遠いが、お芋掘りが楽しみである。