母のがん

子宮頸がん手術当日

投稿日:2021年4月29日 更新日:

手術当日。3〜4時間ほどの手術のつもりでいたけれど、7時間の長丁場に、妹と相談して前半後半に分けて待機することになった。

ぴーすけは家で姉がみるという、三姉妹連携体制がとられた。

ぴっぴは何も知ることなく保育園に通っている。

思えばこの体制も奇跡である。たまたま私が育休で、妹が就職浪人で、ねーちゃんがコロナの煽りでバイト生活で。

そうでなかったら誰が病院に行くのだ。私か。

でもまぁこのまま手術が無事に終わるのを待つしかない。

自分がガンになったことを誰にも言わずに手術をするつもりでいた母。

誰にも迷惑をかけたくない、と言うとなんて健気な人だと思うかもしれないが、要は弱いところを誰にも見せられないのだ。

離婚したことも、生活が苦しいことも誰にも言わず結局家族だけがその鬱憤を受け止めてきた。

今回もまた然り。

1番正面で受け止めてきた姉はついにギブアップした。毎度母に友達関係や職場に乗り込んでこられ、辛い思いをしてきた。

当の母は何も覚えていません、ではないけれど勝手に姉が嫌っているだけだと本気で思っている。

幸せな人というかかなり無神経なところがある。

だから、姉が母のことに関して、たとえガンだとしても分かり合えないと言うのはまぁいい。葬式だってこなくていい。

いややらないか、このご時世。ただ、私は今幸せなので母がかわいそうに思う。

自分も親の立場になって、子どもを不幸にしたいと思う親はいないと思うのだ。

でも一方で理想の親になれなくて子どもに辛い思いを全くさせないで大きくするのはとても難しいと感じている。

いつでも天使のように微笑んではいられないし、自分のやりたいことよりもまず子どもを優先する。

当たり前のような母性が私には最初からは備わっていないように思えた。

それでも世話をするうちに、自分だけを頼りに生きようとしている我が子を必死で生かしている。

時に思った以上にドッカーンと怒ってしまってそんな自分にめっちゃ後悔している。

素直にごめんねと言えるうちはいい。

何もうまくいかなくて、怒りたくて怒ってしまった時、すぐに謝れず子供の方から「ママ大好きだよ」と確かめるように言わせてしまったこともたくさんある。

私が今思うのは、自分が後悔しないようにやろうということだけである。

母が、ではなく自分が「あの時こうしてればよかった」と後々後悔しないように、できうることはやろうと思うのだ。

そんなこんなで、13時頃妹と交代して市民病院に到着。

本を読んだりネットを見てると電話が鳴った。市民病院にいるのに、市民病院から電話だ。

面談をするので面談室にきて欲しいという。

もう手術が終わったのかと思って執刀の先生と面談をすると、そんな悠長な話ではなかった。

お腹を開くと、思っていたよりもひどく大腸や膀胱にも浸潤していた。要するに転移だ。

子宮とその周辺だけでなく、S状結腸や直腸、腫瘍を通過している尿管も取り除き、場合によっては膀胱もとる手術をたされるらしい。

それに伴って人工肛門に回腸導管(オシッコ)のための出口も作る手術も足されるらしい。その同意を求められたのだった。

頭では理解しつつも、事前にあった最悪のパターンに目に涙がたまるのがわかった。

でも、泣いてもしょうがない。

朝から今まで先生は懸命に手術をしてくれていて、「元気な体で長く生きるということを重視すると、取れるものは全部取り切った方がいい」という至極当然な選択を提案してくれている。

命あっての生活である。私はサインをした。



-母のがん

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